北海道で生まれ育った「除雪ドローン🄬」で除雪革命を!
屋内から快適・安全に遠隔操作でき、軽トラで手軽に運べる軽量コンパクトサイズのR/C(ラジオコントロール)式自宅用電動除雪機が新登場

なぜ鉛蓄電池を使うのか?(2) 除雪ドローン開発の秘密 #除雪ドローン

前回の鉛蓄電池の話の続きです。

ブレード式除雪機の場合、何が一番大切でしょうか。もちろんそれは「押す力」です。そのためモアパワーといってモーターの出力を気にします。しかし雪上でもっと大切なのはタイヤグリップです。グリップ力、つまり摩擦力は摩擦係数x垂直抗力です。垂直抗力は平たん路であればすなわち質量(重量)なので、実は重ければ重いほど摩擦力は上がります。おや?

そうなんです、重い鉛蓄電池を使う理由はこの質量を大きくすることにあります。レースカーでは軽量な方が軽くて速いのですがそれはグリップがあってのはなし。グリップがそもそも少ない雪上ではこの質量の大きさが実は押す力になるのです。そのためシャーシも厚めの鉄で作っています。

次に大切なのは位置です。重いバッテリーを車体のどこに積むのがいいのか、これはレースカーと同様に低い方がよいです。しかしレースカーと違うのは前後の位置。

除雪ドローンはUGV(無人地上車両)の一種、ひとつの用途として除雪用設計となっていますが、オフロード、不整地や斜面、法面を走行することも想定しています。その場合特に斜面を登る性能、登坂性能を向上させるのはどこに重量物を置いたらいいでしょうか。レースカーではミッドシップ、真ん中に置きますが、除雪ドローンの場合は前後端にバッテリーを置いています。

これは慣性モーメントを大きくするためです。慣性モーメントとはmrω^2であらわされ、ようは重心からの距離rが大きければ大きいほど大きく(強く)なります。慣性モーメントが大きいと動きにくく、逆に動き始めると止まりにくい特性、まさに慣性です。この慣性を大きくすると実は斜面に強くなるのです。

そういった物理特性を踏まえてバッテリーの搭載位置が決まっています。左右モーターの間に収まる形となっているのはそういう理由からです。

ただこの位置に置くとモーター、タイヤの大きさの関係からどうしても左右に広がってしまいます。幅が大きいと玄関から出入りできなくなったり、狭い通路を走行できません。そのためバッテリーはもともと使おうと考えていたサイズのものがつかえなくなり、少し細身のものを探して採用しています。

実はPoCから10cmほど広くなっていますが、それでも幅65cmという比較的取り回しのしやすいサイズになんとか収まりました。

他にも充電方法や交換式対応など検討項目はあるのですが、スケジュールは限られているのでひとまず製品化しています。

 

(写真:シャーシ。左右モーターの間、シャーシ中央にバッテリーケースがある。重心を下げるためシャーシをコの字型にカットし、底を落としてバッテリーを搭載する)

(写真:シャーシ前から。モーターの間にすっぽりとバッテリーが収まる)

2024/11/26 23:22